と、言う。と、言う。

うつ患いの、籠りがち書生 ということで

壁に耳

私はボロボロの壁を持って走っている。

ざあざあ降りだなんて構わない。息が切れる。構やしない。

靴は泥水を踏んでは跳ねて汚れ切っている。

走らねばならない。走らねばならない。

 

高校の友達の悩みも、幼稚園の先生へのプレゼントも、

おばあちゃんの腰痛のお見舞いだって、

お稽古の失敗のぐちぐちだって、

たっくんに告白して大喜びしたあの日だって。

 

走らねば。走らねば。

ぎゅっと握りしめた壁はだまって握られている。

雨が降ろうが矢が降ろうが構やしない。

私だけが、私には、耳が、耳を。

はぁ、は、はぁ。

 

引っ越しだなんて聞いてない。

居てもたってもいられなかった。

壁を壊すだなんて正気の沙汰じゃないって、わたしだってしってるわ。

でもわたしにしか知らない、耳が、耳が。

 

はぁは、はぁ。

どこへ、どこへ行こう。

私しか知らない、私の耳を。

はぁ、は・・はぁ・・・はぁ

はぁ は はぁ は・・・・・・

世界を落ちる

老いた蝙蝠は考えていた。

死の間際、己のいきつく先を。

 

 

産まれてこの方、落ちたことが無い。それは蝙蝠たちにとって死を意味するからだ。

足を怪我したりなどしたら一巻の終わりである。

世界の底へ落ちて帰って来たものは居ない。

世界というものは、天のつかまりし柱と、その間に広がる空間によって成り立っている。

我々はそれを飛び交い、仲間と会うては挨拶を交わし、虫に会うてはとらえこれを食い。

疲れてはつかまりし柱にて眠りをする。それが世の理である。

 

先日、仲間を弔った。長年の仲間だった。

彼もまた私のように老いていたので、もうじきとは思っていた。

私は皆がそうするように鳴いて悼んだ。そうして後、皆いつもの世の理へと戻る。

解散した。

私は、些かいつもの私ではなかった。

私もじき逝くだろう。仲間のもとへ行くだろう、しかし、仲間のもととは、

そこは、いったい、なんなのだ?なにとはって、そりゃあ・・・

・・・なんだ?

 

・・わたしは、死の間際考えていた。

そうだ、どこなのだ。わたしのいきつく先は、どこなのだ。

仲間の落ちて行った先は、どこなのだ。

母の、父の、ご先祖様の、落ちて行った先は、いったいどこにあるというのだ。

ああ、わたしは、どこへおちていっているのだろう・・・・・・・

 

 

老いた蝙蝠が、暗い暗い中をまっすぐに、

どこまでもどこまでもおちていった。

漢字検定準1級を取り、そこから1級を目指すということ

本記事は私の体験談である。

一部分を有料とし、どれほどの需要があるかテストしてみたかったので、

世の中の人であまり体験者が居ないであろう、「漢字検定準1級」保持という体験を売ってみようと思う。

初めに書いておくと、この検定の合格への道は様々であり一様ではなく、

まさに多岐亡羊(学問への道は多岐に亘り、どこから手を付けていいかわかんない!!みたいな意味。)といった具合である。

飽くまでも「私の」体験談を見たい、といった方に、小銭を戴けるなら幸いである。

 

さて、私はまだ1級を取っていない。狭き門ですからね。

準1級を取得したのが20代前半で、今はもう29になる。

準1級以上を取得すると、漢検生涯ネットワークというものの会員となることができ、

その会員証と会員番号が貰える。私の会員番号は、117385である。(有料記事にするので、これくらいは書いておこう。)

会員向けの興味深い冊子が定期的に届いたり、漢字マニア向けの講習会の案内が届いたりする。

合格者のささやかな楽しみである。

1級を取っていない理由は、「緩やかに勉強したいと思った」からである。

因みに、私は「4ヶ月」の対策勉強によって準1級の合格を成し遂げた。

3級の4ヶ月後に、準1級である。

 

なぜ、そんなハイペースで昇級した私が、のんびりとこんなブログを書いているのか?

さて、ここからを有料部分としよう。

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朝山と蓬莱飾

あさ-やま[朝山]

①朝、見る山。朝の景色の変化する山影。

②(高知地方で)蓬莱飾(ほうらいかざり)のこと。

 

ほうらい[蓬莱]

①[史記秦始皇本紀]三神山の一。中国の伝説で、東海中にあって仙人が住み、不老不死の地とされる霊山。蓬莱山。蓬莱島。よもぎがしま。竹取「東の海にーといふ島あるなり」

②、③ (略)

④蓬莱1にかたどって作った台上に、松竹梅・鶴亀・尉姥(じょうば)などを配し、祝儀などの飾り物に用いるもの。蓬莱台。島台。

⑤新年の祝儀に三方の盤上に白米を盛り、上に熨斗鮑(のしあわび)・伊勢海老・勝栗・昆布・野老(ところ)・馬尾藻(ほんだわら)・串柿・裏白・譲葉・橙・橘などを飾ったもの。蓬莱飾。宝莱。江戸では喰積。<季・新年>。永代蔵「春の物とて是非調へてーを飾りける」

⑥ (略)

(略)

ー-かざり[蓬莱飾]

蓬莱5に同じ。

広辞苑 第四版 より

 

これは画像を調べた。

④は風雅、⑤はダイナミック!!

朝山はダイナミックの方であろう。

 

高知地方では今も、新年にダイナミックが拝めるのであろうか。

もう年の瀬ですねえ。

あさもよし、あさもよい・あさもよひ 麻裳よし、朝催い

あさ-も[麻裳]

麻布で作った裳。

ー-よいヨヒ〘枕〙

(「あさもよし」の誤解から生じた語)「麻裳よし」に同じ。今鏡「ー紀の関守が手束弓」

ー-よし[麻裳よし]〘枕〙

紀伊国からよい麻を産出したので)「き(紀・城)」にかかる。

広辞苑 第四版 より

 

「麻裳よい」、何が「誤解」なのだろう?と暫し疑問に思い、気が付く。

ああ、「あさもよい」と、書いたのかと。

 

あさ-もよい‥モヨヒ[朝催い]

①朝食の準備。また、朝食時。俊秘抄「ーとはつとめてもの食ふ折を言ふなり」

②朝食。

広辞苑 第四版 より

 

「あさもよい」の項にある句は、「あさもよひ」と表記し書かれたらしい。

ともすれば、「朝催い」を枕詞と誤解したとも捉えられかねない。

枕ならば前後の語で文脈を考えずともよい。「麻」と「紀」とを頭の中で結びづけずともこの句を仕上げられるとも考えられる。

 

 

「あさもよひ」を用いた作者がどのような思いで用いたかは、やはり定かではないけれども、

何が「誤解」なのだろう?という最初の疑問は幾許か晴れたように感じられたのであった。

蔵玉集 朝見草から月見草、藻塩草へと

あさみ-ぐさ[朝見草]

松の異称。蔵玉集「夜にあまるつきをや山の―」

広辞苑 第四版 より

 

ふと気になる。蔵玉集とは何だ?

典拠が気になる事はあまりない。どういった時代に用いられたか、文の中の言葉の古さから類推することはあれど、典拠自体を気にすることはあまりなかった。

これは気まぐれであった。

 

ぞうぎょくしゅうザウ‥シフ[蔵玉集]

歌集。一巻。二条良基撰と伝える。草木・月の異名などの和歌を集めたもの。類書に「莫伝抄」がある。蔵玉和歌集。

広辞苑 第四版 より

 

何ということだ。少し調べると、私の気にするところの異名をずらり並べて、その語を含める和歌を集めた歌集だというではないか。

類書まであるとは・・・

何から出でた言葉であるか、もっと気にすべきかもしれない。

 

 

つき-み[月見]

(略)

ー-ぐさ[月見草]

①「つきみそう」に同じ。

②萩の異称。(藻塩草)

広辞苑 第四版 より

 

何となく「つきみそう」を調べんとすると、「つきみぐさ」に出会った。

萩の異称も気になるが、「藻塩草」??藻塩をとる、あれがどうしたって?

 

も-しお‥シホ[藻塩]

(略)

ー-ぐさ[藻塩草]

①藻塩をとる材料にする海藻。アマモの類。(略)

②随筆・筆記類の異称。

広辞苑 第四版 より

 

なるほど、「随筆」に「筆記類」、それらに「つきみぐさ」は「萩」の異称なりなんなりと書かれていたのを、広辞苑が収録したと。

やっとつかめた。

 

 

それにしても、頁から頁へとわたり全容を把握することはやはり楽しい。

図らずも、「朝見草」から「月見草」、「藻塩草」へと、綺麗につながったので、

こうして記事として紹介したいと思う。

中々面白い旅だった。

手持ちの辞書

このブログでは、私が辞書を読み進めてゆく間に見つけた面白い項目を挙げてゆく方針だが、

その辞書について一つ、列挙してみようと思う。

 

広辞苑 第四版

今1番HOTな辞書。私の中でHOTな辞書。よろしく頼むぞ。

大辞泉 第一版

カラーで読んでいて楽しいぞ。

大辞林 第一版

装丁の色が好み。

旺文社 国語辞典 第十一版

ここに来てコンパクト辞書。気分転換に。

 

 

漢検漢字辞典 第二版

古株。ぼろっぼろの愛読書。

漢字源 第五版

漢字について読みたい場合は、今はこっち。

漢辞海 第四版

読み比べは大事。

 

 

ランダムハウス英和大辞典 第一版

でかい!広辞苑並みのでかさだ。

リーダーズ英和辞典 第一版

最新版にはお世話になりました。例によって売ってしまったが・・・

グランドコンサイス英和辞典 第一版

グランドコンサイス和英辞典 第一版

セットで並べるといいかんじ。

新和英大辞典 第一版

緑のハードカバーがカッコいい。

 

 

小学館 中日辞典 第一版

安かったからって古いのを選び過ぎた。

 

アクセス独和辞典 第三版

第二言語に選択した思い出・・・

 

 

添え書きが薄いのは、体調が悪くて全然手を付けられていないからである。

取り敢えず買い揃える癖があるのだよなあ、私は・・・

とかく、これらにお世話になる予定である。